(戻る)

第18回IPPNW世界大会 in Indiaに参加して

大阪民医連 耳原総合病院 1年目研修医 松田 友彦

 第18回IPPNW世界大会に参加して強く実感したことがあります。核弾頭という大規模兵器だけでなく、劣化ウラン弾などの放射性小兵器が実戦使用されて人々の健康問題に大きな影響を与えていること、そして戦争・兵器問題だけでなく貧困や環境に関する問題提起もなされていることが印象に残っています。つまり戦争と貧困との連鎖を強く意識させられたことです。1998年に核実験を実施し核保有国になったインド、IT産業の興隆で世界長者番付の上位に多数のインド人が名を連ねる一方で、1日1ドル以下で生活をしている国民が数億人もいるインド、その国でインドを感じながら核兵器・戦争・貧困・環境問題を議論してかつそれについて考えさせられたこと自体が私にとって大きな経験でした。

個人的には大会3日目に出席した分科会「若い医師・医学生の平和活動を組織する」が印象的でした。欧米・アジア各国の学生やレジデントが核兵器廃絶や平和を求める活動に従事するIPPNWの活動に学生・医師・レジデントの参加を促し、医師として社会に出たあともこのような活動に従事し続けるにはどうすればよいのかが活発に議論されました。英語の壁もあって細かな部分は理解できませんでしたが、医師には社会的不正に対して反対の声を上げる社会的責任があると明確に考えている分科会参加者の熱意は充分に感じ取れました。そして、そのような活動に対して持続的に取り組むには具体的にどのようにするかということが議論されていました。具体的にはインターネットなどを介して医師や医学生の結びつきを維持するための方法について議論されていました。このような活動の持続性に関する問題は、IPPNWの平和活動だけでなく、医師の医療活動を維持できず医療崩壊が叫ばれている現在の日本医療社会の問題点にも通じるものがあると思います。日常の医療業務がハードであればこのような社会活動に眼を向ける余裕がなくなるのは当然のことでしょう。そのような中でも社会的責任を担い続けるには、まず声にあげて主張を述べること、次に周囲にそれに対する賛同者や理解者をつくること、そのためには自分なりにできることを何か始めること(これが一番難しい問題でしょうか)、このようなことが一人一人に求められているのではないかというのがIPPNW世界大会に参加して率直に感じたことです。